第19回日本理学療法士学会
大会テーマ 「理学療法“学”の確立」
昭和59年5月17、18日に金沢市文化ホールで開催された第19回日本理学療法士学会のテーマは、『理学療法”学“の確立』であった(第35回広島大会以降、日本理学療法学術大会と改名)。第19回学会の特徴は、①本来の学会長のあるべき姿として、初めて学会長(現在は大会長)の基調講演(テーマ:理学療法におけるプロフェッションの条件)が行われたことである。そして、その後の学会・学術大会でも基調講演が踏襲されており、これは、一つのエポックメーキングな事項であった。②特別講演では、学会テーマにちなんで、哲学者、中村雄二郎氏を招聘して、「学問論の新しい動向―臨床の意味を問う」であった。③シンポジウムのテーマは、「理学療法学と隣接学問」として、学会テーマおよび学会長基調講演と特別講演に関連した内容に統一した。
協会の学会で初めて「理学療法の学問体系」もしくは「科学としての理学療法(学)」を追究することを基軸にしたものであり、その後の協会活動および会員の志向性を方向付ける学会になったと感じている。
当時の協会の会員数は、約3,700人で石川県理学療法士会の会員数は約50人であった。協会からの学会援助金は、約100万円程度であったと記憶しているが、学会の準備は数年前から始める必要があり、その準備資金として各会員から5,000円借りてそれに充てた。幸い参加者も約900人に達して、会員からの借金も返済可能になり、さらに、打ち上げ会の費用も捻出できたので、石川県会員の苦労と成功の喜びを分かち合えた。
学会会場でのスタッフには、学会運営の体験学習を兼ねて、当時の金沢大学医療技術短期大学部理学療法学科の学生を動員して手伝を得た。会場整理費は、前納6,000円、当日7,000円であった。一般演題数は、162であったが、これは当時の協会会員の4.37%が発表したことになる。
懇親会では、筆者と理学療法士、作業療法士の5人で有名な輪島の「御陣乗(ごじんじょ)太鼓」を披露した。当然ながら、事前に練習を重ねたが、衣裳などは作業療法士の手造りで、太鼓は、精光準備委員長の自宅にあった太鼓を使った。輪島からプロ芸人を呼ぶと相当な費用が掛かることが分かり、費用削減を目的にアマチュアで行うことになった訳だが、最終的には予想以上に受けたようで、いわゆる、「おもてなし」とはお金を掛けなくても可能であることも認識した。
公益社団法人 石川県理学療法士会
第19回日本理学療法士学会 学会長
奈良 勲
石川県理学療法士会からのメッセージ 思い出レポートを年ごとに見る