【47都道府県】全国の理学療法士会メッセージ

1974年 全研

第9回日本理学療法士協会全国研修会

第9回全国研修会をふり返って

(昭和49年9月21日22日 於秋田県由利組合総合病院)
研修会長 伊藤 日出男(秋田県理学療法士会長)

「地方の特性を生かしたテーマを」というのが学術部長奈良勲先生からの最初の提案であった。

中央に対する地方、という言葉には、分化だけでなく医療においても単なる空間性としてではなく、「高い水準の医療」と、もっと「低い水準の医療」の関係というように考えられている傾向が強いように思われる。

われわれの分野においても、地方はもっぱら中央の学問の受け手になってしまい、独自な価値をもった仕事としては、それ自体評価されにくいのが実情である。

青森や秋田のいわゆる辺地にあって、こうした共通の問題意識が前述の奈良先生の提言にしたがい、全国研修会をはじめて地方で引受けるにいたった動機であったように思われる。

「農村における脳卒中」というテーマのもとに、総論から各論へ、急性期治療からリハビリ成績へ、さらには地域訪問活動の実践までと、一貫したプログラムを組み、大部分は臨床経験の豊富な講師を依頼し承諾をいただいた時点で、すでに研修会の成果は決ったようなものであった。内容の点だけからいうと、それ程自信をもって全国の会員に聴いていただけるプログラムであったと自負している。

全国から92名の会員と、非会員や学生を合せると155名が秋田県本荘市(「臨床理学療法」1巻2号巻頭言の青森とあるのは秋田の誤りと思われるので指摘しておく)に集ってくれたこと、運営面で若干のトラブルがあったものの、まずは大過なく終了したことを素直に喜ぶとともに、関係者の方々に心から感謝申しあげたい。

大都会を離れて地方に開催地をもってきた協会役員の英断に敬意を表すとともに、これを契機としてわれわれも地方性を生かした学問の拠点となるような努力を積み重ねてゆきたいと考えている。

※本記事は臨床理学療法からの転載です。




秋田県理学療法士会からのメッセージ 思い出レポートを年ごとに見る
理学療法士会メッセージへ戻る理学療法士会メッセージへ戻る