第9回日本理学療法士学会
大会テーマ 「リハビリテーション工学」
本学会は、1974年5月11、12の両日、東海士会(1968年設立、愛知、岐阜、三重の三県合同)の担当(会場:名古屋市民会館)で、750名の参加者のもと57題の演題で行われた。学会長古川良三氏は、臨床理学療法(社団法人日本理学療法士協会機関誌創刊号1973年10月発行)に、「第9回日本理学療法士学会開催に当たって」と題して次のように述べている。「先人の輝かしい業績と討論は、理学療法の普遍的原則を追求しつつ、その体系化を進めることに大いに役立ってきました。浅野前学会長は、専門職としてのP.T.の壁に取り組まれ、誇りある学会に成長するよう力説されてきました。今学会を担当する東海士会員一同は、此の意を引き継ぎ、内容ある学会を主催することの責務の重責を痛感しています。」。第9回学会のテーマは、「リハビリテーション工学(Rehabilitation Engineering)」であった。この用語は、今でこそ一般的であるが、今から約40年前の医療状況を鑑みると、全く聞き慣れない斬新なテーマではなかったかと思う。テーマの決定の理由について、古川氏は、「現在の理学療法は、ややもすると日常の忙しさに流されて、画一的治療プログラムや曖昧な記録に陥りやすいことは否めない。しかし、貴重な臨床治療の積み重ねられた資料は、その分析によって「ベッドサイドに明日の医学がある」。治療技術や評価の分析に当たっては、それぞれの方法について、具体的に定量的に作用と機序を明確にすることが迫られている。」と述べている。このように自らの手で理学療法の科学性を築いていきたいと念願した第9回学会が、今日の「科学的根拠のある理学療法」の先駆けとなったことの意義は大変大きいものがあると思う。学会開催の前日、初めて出会った私に、「学会は、皆の力を結集して初めて達成するのですよ」と語った、今は亡き古川氏の笑顔は決して忘れない。
公益社団法人 愛知県理学療法士会
第9回日本理学療法士学会 協力士会員
岡西 哲夫
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